Secondary Mars 

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「うにうに」 




その惑星は、
澄んだ大気と、深い緑に覆われた、
美しい星だった。

惑星中に張りめぐらされた運河は
その星を、まるで宝石のように飾り立てていた

しかし、


その惑星の重力は、
それらを引き留めておくには、
ほんのわずかに小さ過ぎたのだ。

彼らは滅亡の日があるのを知っていた。
しかし、それは、何千年も先の事だと思われていた。
人々は、平和に暮らしていた。


それは、よくある気まぐれだった。
ほんの小さな小惑星が、
惑星の表面をかすめた。
しかし、それは、かろうじて保たれていた均衡に、
致命的なダメージを与えた。

膨大な水が、嵐と共に大気圏最上層部まで巻き上げられた。
強烈な紫外線に焼かれ、水素が爆発的に発生した。
太陽風がそれらを全て持ち去った。
人類が初めて見る、美しい光景が、惑星中の空を覆っていた。
水はもの凄い勢いで蒸発し始めた。


そして、、、大気が無くなり始めていた。


このままでは、全ての生命が絶えてしまう。
他の惑星に移住するしかない!
大規模な移民に耐え得る宇宙船を建造する技術は無かった。

更に、、、


太陽系で唯一移住可能な惑星は、
人間が生きるのには、かなり大きな重力と濃い大気を持っていた。
人体を遺伝子レベルで改造する必要があった。

しかも、数世代のうちに!!



人類の、種の存続を賭けた戦いが始まった。
そして、、、70年が過ぎようとしていた。

惑星中に張りめぐらされた運河は、完全に干上がっていた。
地殻変動が間断なく起きていた。
次の熱的均衡点は近かったが、既に大気は、ほとんど失われていた。

が、、、


人類は、移民船団の建造と、その人体改造に成功していた。

彼らは勝ったのだ!!



人類の希望の全てを載せて、
最初の移民船は、隣の惑星へ旅立った。

ちょうど1年(687日)後の今日、その惑星は、
8年ぶりに5000万キロメートルまで接近する。
その時、移民船は新惑星に着陸する。

人類は、
2倍の直径を持ち、10倍の重力を持つその惑星で
新しい朝を迎える。



昼は、今までより大きく見える太陽が、地上を照らし、
夜は、信じられないほど大きな衛星が、闇を照らすであろう。

氷に閉ざされた、その新惑星では、
直立歩行し、火を使う知性体の存在が確認されている。

彼らは小さい。我々の半分以下しか無い。
もちろん、混血は不可能である。
が、我々は、彼らと上手くやって行けるだろう。

なぜなら、姿が、、、似ていなくもないからだ。

母星からの連絡が途絶えた。
大気をほとんど失った母星は、流星群から逃れる手段を持たなかった。
移民船のコンピュータも調子がおかしい。
引き返す燃料は無い。

移民船は、かろうじて新惑星にたどり着いた。

彼らは都市を築き、その惑星に文明をもたらした。
しかし、彼らの絶対数は、
種を維持するためには、僅かに少な過ぎた。

2万年ほど後、、、、彼らは滅びた。



データ名:Secondary Mars /「うにうに」/GS/RCP
   ID:KGG01443
登録日付:94/11/23
  属性:バイナリ
 バイト:48014
  参照:1143
補足説明:
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【  曲 名  】Secondary Mars
【 作曲者名 】「うにうに」
【アーティスト】DADA
【データ作成者】「うにうに」
【 データ形式 】RCP
【 対応音源 】SC-55mkII
【 圧縮形式 】LHA
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《 公開日付 》94/08/14
《 著 作 権 》著作者管理(オリジナル)                
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こんにちは、「うにうに」です。
なんと、8カ月ぶり、4曲目の新作です。

「Secondary Mars」

今回は、スペクタクルで、SFで、プログレな曲です。(・_・;

お話が付いています。
WRD&画像がおおきなウェイトを占めますので、
MIMPIの 3.7G 以降で聴いて頂けると、
破壊力が爆発的になるかもしれません。(^_^;

曲へのご意見、お話へのご意見、お待ちしております。

「うにうに」



Special thanks to
わたる (FSF) 考証
wata WRD & MAG 指南
多くの人々 景気付け(^_^;

どうもありがとうございました。

1994/08/13 「うにうに」

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